2004 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌O157のパルスフィールドゲル電気泳動パターンの変化に関する研究
Project/Area Number |
04J03994
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井口 純 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | PFGE / O157 |
Research Abstract |
パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターン解析は腸管出血性大腸菌をはじめ多くの病原細菌を疫学的に分類する手法として頻繁に使われている。しかしその判定を可能にしている菌株間でのゲノム改変の機構や頻度については未だ明らかにされておらず、PFGEパターンの結果を正しく理解するためにはそれらを知ることが必要であると考える。そこで本研究では腸管出血性大腸菌O157を用い、PFGEパターンの多様化の原因となる変異について調べた。本研究で使用したEDL933株は全塩基配列が報告されており、ゲノム上には18のファージDNAが存在する。EDL933株をハートインヒュージョン寒天培地上で50週間にわたり100回の継代操作を行い、継代10回毎に14株(または18株)についてPFGEパターンを観察した結果、パターンの異なる株が複数得られた。PFGEパターンの変化に影響を及ぼした変異箇所を解析した結果、stx2遺伝子をもつ933Wファージの欠落、Insertion Sequenceを介した欠失に加え、複製軸にほぼ対象に存在する2つのファージ間での逆位が認められた。逆位は7つのファージを介した5つの組み合わせでみられ、その大きさは250kbpから1.4Mbpと多様であった。PFGEパターンの変化としては、1回の逆位で4バンドの変化が観察された。以上の結果からゲノム上に存在するファージDNAを介した逆位がO157におけるPFGEパターンの多様化に関与していることが示唆された。
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