2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J04015
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
驛 賢太郎 神戸大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 制度変化 / 国債管理政策 / 政治経済学 |
Research Abstract |
平成17年度に行った研究活動として、「1:制度変化に関する文献の収集とその整理」、「2:70年代後半から80年代にかけての国債管理政策及び金融(監督)政策の政策形成過程」の二点を中心に行った。 1:経済パフォーマンス等を説明する独立変数として制度を取り扱う研究はこれまで多くなされているが、従属変数として変化する制度とその変化を促す要因を明らかにする一般埋論の研究蓄積は乏しいといえる。制度変化に関する理論構築を行うために、昨年度に引き続き今年度も、文献の収集と整理を行った。青木昌彦の提唱する『比較制度分析』から「制度補完性」の概念から明らかにされる、異なる制度間の連環による制度変化の凍結と、変化の連鎖といった制度変化のメカニズムについては、本研究の分析に応用可能であると考える。 また、Streeck/Thelen等の制度変化の研究"Byond Continuty"では、制度の「逐次的変化(gradual transformatin)」に関して5つのタイプ("DiSplacement/"Layering"/"Drift"/"Conversion"/"Exhaustion")を指摘されている。これらの概念は外観上の制度変化(例:法令の変更など)を伴わない質的な制度の変質、長期間に渡る制度変化を捉えるのに優れた分析ルールになると考える。 2:70年代後半から80年代前半にかけての国債管理政策及び、金融(監督)政策の政策形成過程について分析し、これを「関西行政学研究会(2005年9月)」にて報告した。この時期、日本では国債の発行金利をめぐる国家と市場の対立が高まった。当時は国債の発行金利は国家が定めており、これに対し市場側は金利自由化(市場化)を求めていた。国家による市場統制が存在した国債市場で、国家と市場間の関係が新たな局面を迎えた事例として、両者の関係の変化を明らかにした。
|