2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J04071
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Research Fellow |
齊藤 愛理 (廣田 愛理) 首都大学東京, 都市教養学部経営学系, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ヨーロッパ統合史 / フランス / 近代化計画 / 農業政策 |
Research Abstract |
フランスはEUの共通農業政策の受益国であるにもかかわらず、従来の研究はフランスの統合政策と工業近代化の問題を重視し、農業問題との関連は看過されてきた。本年度の研究は、主として計画庁文書を用い、戦後フランスの農業政策の視点から統合政策を検討することを主眼とした。この成果は、論文「戦後フランスの農業政策とヨーロッパ統合(1945-57年)」(『現代ヨーロッパの社会経済政策-形成と展開』)において発表した。 これにより、ローマ条約交渉の過程でフランスが要求した農業に関する要求は、従来指摘されているような貿易収支改善のための輸出利害にとどまらず、国内における経済近代化計画の推進と密接に関係していることが明らかとなった。戦後の近代化計画推進の過程において、工業と農業の発展の要素が緊密に結びついた結果、フランス政府にとって、工業か農業の一方を犠牲にした政策の実施は不可能となった。したがってローマ条約によって設立された共同市場は、次の二つの意味において近代化実施の最適な枠組みであったのである。それは、一方で、価格競争力が低い農産物に市場と保護を提供する枠組みであり、他方で、工業製品の価格低下と離農者の受け皿の拡大をもたらす工業近代化の達成に適した枠組みであった。 さらに、この研究内容を発展させ、次に工業利害の観点から見た農業近代化の意義について詳細に検討するため、国立文書館(パリ)、産業界史料センター(ルーベ)において一次史料収集を行った。
|
Research Products
(1 results)