2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能のX線分光観測による銀河の物質循環の研究
Project/Area Number |
04J04087
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大島 泰 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 銀河の物質循環 / アウトフロー / 分子雲 / マグネティック型マイクロカロリメータ / 断熱消磁冷凍機 / 超伝導量子干渉計 |
Research Abstract |
銀河の物質循環を探る上で重要な銀河面からの高温ガスのアウトフローは、理論的にはその噴出し口は煙突状になっていることが予測されている。この噴出し口は分子雲で形成されているため、オーストラリアのMOPRA電波望遠鏡を用いて、銀河面からの高温ガスのアウトフローの周りをとりまく分子雲の構造を観測した(10月)。その結果、銀河面と垂直な方向にのみ分子雲が見つかったが、水平な方向には見られなかった。このことから、高温ガスのアウトフローは銀河面から等方的に噴出するのではなく、それを取り巻く煙突状の分子雲によって絞られて効率良く銀河面から噴出している様子を捉えることができた。 上記と並行して行ったマグネティック型マイクロカロリメータの開発は、主に測定環境と読み出しの改良を行った。マグネティック型マイクロカロリメータは粒子を吸収に伴う微少な温度変化を測定するため、熱浴の温度ゆらぎによって性能が制限されてしまうため、この温度揺らぎを小さく抑えることが可能である断熱消磁冷凍機の立ち上げを行い、以前用いていた冷凍機に比べて1桁以上高い温度安定性を得ることができた。また、世界的にもマグネティック型マイクロカロリメータの性能は読み出し素子(超伝導量子千渉計SQUID)のノイズに支配されているため、既存の読み出し素子の中でも最も適したものに変更し、SN比を30倍程度高めた。現在、これらの改良を基にγ線およびX線の検出実験を行っている。加えて、将来のさらなる改善のために、マグネティック型マイクロカロリメータの性能を最大限に引き出せる新しい読み出し素子の設計を行った。
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Research Products
(1 results)