2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能のX線分光観測による銀河の物質循環の研究
Project/Area Number |
04J04087
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大島 泰 首都大学東京, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マグネティック型マイクロカロリメータ / 超伝導量子干渉計 / TES型マイクロカロリメータ / X線分光観測 |
Research Abstract |
次世代の超高分解能のX線分光観測を目指して開発を行っているマグネティック型マイクロカロリメータの性能向上を重点的に行った。現在、世界的にもマグネティック型マイクロカロリメータの性能は読み出し素子(超伝導量子干渉計SQUID)のノイズで制限されている。このため、マグネティック型マイクロカロリメータの性能を最大限に引き出すには、困難とされている発熱を抑える事と低ノイズ化の両立が必要である。そこで、この条件を満たす新しい読み出し素子の設計、製作、評価を行い、この結果を国際学会で発表し、高い評価を得た。 次に、ドイツのハイデルベルグ大学に赴き、この読み出し素子のより低温での評価を行うと共にセンサーとなる常磁性体を譲り受けた。そして、この読み出し素子にセンサーを接着し、日本で初めてマグネティック型マイクロカロリメータでのX線の検出に成功した。現状では、その性能は用いた冷凍機の能力で制限されており、6keVのX線に対して半値幅で50eV程度であったが、現在行っている冷凍機の改良によって、その性能を一桁上げて世界レベルに到達することが可能である事を示した。さらに、これらの結果を基に、読み出し素子の次の設計を行った。 上記に加え、将来の超高分解能のγ線分光観測を目指して、従来のX線用のTES型マイクロカロリメータにγ線の吸収体としてスズ箔を手作業で貼り付けることでγ線用TES型マイクロカロリメータを製作した。事前に詳細なシミュレーションを行い設計の最適化を行った結果、60keVのγ線に対して半値幅38eVという知りうる限りでは世界で最高の性能を達成した。また、これによってγ線用TES型マイクロカロリメータの性能を最大限に引き出す為の着眼点が非常に有効であることを証明できた。 一方、観測的研究においては、X線天文衛星すざくの衛星運用を行うことで観測データの取得と運用ソフトの改良に貢献した。
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Research Products
(1 results)