2005 Fiscal Year Annual Research Report
大気を経由した陸起源物質の海洋生態系への影響と海洋生物からの大気組成への応答
Project/Area Number |
04J04097
|
Research Institution | Hokkaido University |
Research Fellow |
笹川 基樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 鉄散布実験 / メタン / 一酸化炭素 / 非メタン炭化水素 / セジメントトラップ / 二次生成エアロゾル |
Research Abstract |
2004年7月13日から8月27日の期間に行われた,独立法人海洋研究開発機構所属の学術研究船「白鳳丸」による北西部北太平洋における研究航海(KH04-3次航海)における試料(海水試料・セジメントトラップ試料・動物プランクトン試料)の溶存メタン濃度・炭素同位体比を測定した。この航海は人為的な鉄散布にともなう海洋の生物・化学変化を調査するものである。海水中の一酸化炭素及び非メタン炭化水素測定用に改良した抽出ラインを用い,海水試料から各気体を抽出し,各成分の濃度および炭素・酸素同位体比も測定した。まだ議論の余地はあるが,鉄散布にともなう各データの顕著な変化は見られなかった。 海洋亜表層の溶存メタンは過飽和に存在する事が知られているが,本研究海域でもメタンは大気平衡より過飽和であった。このメタンの起源は従来の研究で,動物プランクトン内やフィーカルペレットなどの沈降粒子内の微小還元環境におけるメタン生成と提唱されていた。本研究では,海水中の過飽和メタンの炭素同位体比と動物プランクトン内及び沈降粒子内の炭素同位体比を比較する事により,過飽和メタンは沈降粒子を通して水柱に漏出する事を明らかにした。現在この内容に関する論文はほぼ完成し,本年度中に投稿予定である。 2005年6月1日からオランダのユトレヒト大学のトーマス・レックマン教授の下で,2次生成エアロゾルの生成過程に関する研究を開始した。大気から海洋への物質供給を考える上でエアロゾルは重要な経路と考えられている。現在基礎実験を継続中である。
|