2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J04136
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長谷川 真士 東京都立大学, 特別研究員(PD)
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Keywords | テトラチアフルバレン / 酸化還元系 / 機能性材料 / 超分子化学 / 自己組織化 / 大環状化合物 / 有機伝導体 / 有機磁性体 |
Research Abstract |
テトラチアフルバレン(TTF)は有機伝導体における有効なドナーとして広く研究されているが、近年の超分子化学の発展とともにTTFの多機能性を活かした新たな方向性が示されている。つまり、TTFを超分子化学における構成ブロックと捉え、レドックスセンサー、分子スイッチ、有機磁性体、非線形光学材料などの機能の発現が報告されている。しかしながら有機伝導体におけるTTFの根本的特徴である自己会合という性質を有効に利用したものはあまり知られていない。そこで申請者はTTFが中性及びカチオンラジカル状態において多量化する性質に着目し、これを活かした超分子構造をもつ化合物の構築を目的として研究を行った。特にその可逆的な酸化還元能により、高次の超分子集合体において、その構築や解離を電気化学的に制御することが可能になるので大変興味深い。このような観点をふまえ、TTFを組み込んだメソスケールの大きな超分子構造を構築し、新しいナノスケールの有機伝導体や有機強磁性体などの複合的な機能の実現を目指している。 本年度はまず、TTFの可逆的会合、解離現象を用いたレドックス応答型の高次構造の構築を目指し、TTFデンドリマー型化合物や直線状TTFオリゴマー型化合物などを設計し、その構築のための合成手法についての検討を行った。設計した化合物の合成のためには、酸化され易いTTFに影響しない結合構築法が必要となるが、遷移金属触媒を用いたカップリング反応を利用した結合形成が、目的実現の有効な方法論となることを明らかにすることができた。また、現在までに得られているTTF誘導体について、自己会合挙動や電気化学的特性を明らかにした。今後さらに、超分子集合体の構造や集合体形成の制御などについて検討し、機能性物質の開発に発展させていきたい。
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Research Products
(5 results)