2005 Fiscal Year Annual Research Report
粘土鉱物上におけるポルフィリン分子の配向制御と光捕集系構築への応用
Project/Area Number |
04J04186
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
江口 美陽 首都大学東京, 工学研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC1)
|
Keywords | 層状化合物 / ポルフィリン / 有機無機複合体 / 配列 / 配向 / 配交変化速度 |
Research Abstract |
本研究は、ポルフィリン分子を層状化合物上に直接吸着させ、ポルフィリンやポルフィリン一層状化合物複合体の新しい機能を見出し、高めることを目標としている。思い通りの機能を発現する為の思い通りの分子配列や分子配向を実現する方法論の創生に挑戦する。層状化合物は原子レベルで平滑であり広い二次元空間を有する無機化合物である。重要な特徴としてカチオン交換性が挙げられる。この性質によって層間・層表面に様々なカチオン分子を取り込み均一系では見られない様々な物性を観察することができる。 本研究では、水中で層表面にカチオン性ポルフィリンを吸着させた。まず、様々な置換基を有するポルフィリンを粘土表面に吸着させることで吸着状態の違いを観察した。これにより、ポルフィリンの分子内カチオン間距離と単分子吸着のしやすさに相関があることや、その傾向を明らかにした分子内カチオン間距離と粘土表面上のアニオン間距離の整合性についての規則を見出し、これをSize-Matching Effectと命名した。 水中では粘土表面に対してポルフィリン環が水平な状態で配向している。そこで、粘土表面上におけるポルフィリン分子の配向制御を試みた。周囲の溶媒環境を変えることで非常に顕著な配向変化を引き起こすことが出来ることを見出した。また、複合体を膜状に調整し、それぞれの溶媒下で吸収の二色比を測定することで、配向角を見積もることに成功した。さらに、様々な溶媒で同様の検討を行った結果、配向変化の駆動力を明らかにした。溶媒の特性には様々な因子が存在するが、その中で、溶媒の水素結合性と配向変化の起こり易さに相関があることを見出した。熱力学的評価として吸着したポルフィリン配向の温度依存性を確認し、非平行吸着したポルフィリンは平行吸着したものよりもエンタルピー的に安定であることを明らかにした。同時に速度論的解析のために励起状態の観察を行い、配向変化速度定数が10^<4〜6>/s^<-1>程度であることを見積もることができた。 今後、機能材料としての展開を図る上で重要な知見を得ることに成功した。
|