2004 Fiscal Year Annual Research Report
サルデーニャの舞踊音楽研究-ラウネッダスの舞踊音楽との比較考察を通して-
Project/Area Number |
04J04203
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
金光 真理子 東京藝術大学, 大学院・音楽研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | イタリア / サルデーニャ / 民族音楽学 / ラウネッダス / 舞踊音楽 |
Research Abstract |
本研究は、サルデーニャの舞踊音楽について、これまで看過されてきた舞踊の観点からの分析・考察を加えることによって、音楽の構造を相関的・包括的に解明することを目的としている。 特別研究員奨励費によりイタリアで行ったフィールドワーク(2005年7月21日〜10月1日)では、筆者がとくに対象とするラウネッダスlauneddas(イタリアのサルデーニャ島の三管クラリネット)の舞踊曲について、次のような調査を行なった。 第一に、ラウネッダス演奏の中心地サッラブス地方のマエストロ、アウレリオ・ポルクへ聞き取り調査を続行し、ラウネッダスの舞踊曲の演奏規範と内容について情報を蒐集した。このインタヴュー記録から、筆者は、ラウネッダスの音楽を理解する鍵となる概念「イスカラ」に関する考察を進めている。また、筆者は国内でラウネッダスの舞踊曲の演奏分析を進めており、「イスカラ」の解明にむけて、ラウネッダス奏者の言説と演奏を等しく分析・考察することを試みている(「イスカラ」に関する考察の一部は『東洋音楽研究』第70号(平成16年度)に掲載予定)。 第二に、イェルツ、マラカラゴニスなど、かつて祭りのラウネッダス舞踊が盛んであった村にて聞き取り調査を行い、祭りの時期・運営・内容等に関する情報を蒐集した。さらに、舞踊について、ステップを実際に学び、記録すると同時に、踊り方のさまざまな実例を調査した。現在、イェルツ村のステップをラバノーテーションLabanotationによって記譜し、規範的な譜例を作る作業を進めており、この分析・考察結果から、舞踊と音楽の相補的関係を実証する準備を進めている。 以上のような蒐集資料をもとに、引き続き分析・考察を行い、ラウネッダス舞踊という音楽実践を体系的・客観的に理解するための解釈の枠組みを措定し、博士論文として纏めることを予定している。
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Research Products
(1 results)