2006 Fiscal Year Annual Research Report
地球型惑星の大気形成:惑星形成過程における混合大気の寄与
Project/Area Number |
04J04281
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
玄田 英典 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 惑星初期進化 / 大気の起源 / 大気の進化 / 脱ガス大気 / 太陽組成大気 |
Research Abstract |
地球型惑星は原始太陽系星雲ガス(ネビュラガス)の中で形成した可能性が高いことが惑星形成理論および観測からわかっている。微惑星の衝突合体によって惑星が現在の月サイズよりも大きくなると、周囲のネビュラガスを重力的に捕獲し始める。また、微惑星に含まれている揮発性成分が脱ガスするのも惑星が月サイズ以上になってからである。脱ガスは地表面付近で起こるため、大気の混合を考慮しなければ、脱ガス成分の大気を下層、ネビュラガス成分の大気を上層とした2層大気が惑星の初期には形成されたはずである。原始太陽系星雲ガスが散逸するときに、上層のネビュラガス成分の大気は散逸し、下層の脱ガス成分の大気が生き残ることが定性的にわかるが、2層の混合によってネビュラガス成分が生き残ってしまう可能性もある。 混合を考慮し、大気の構造を数値的に解くプログラムを作成した。その結果、惑星が火星サイズ程度の場合、対流は地表面付近で起こっており、その領域は薄く、脱ガス大気とネビュラ大気の混合があまり起こらないことがわかった。一方、惑星が地球サイズ程に成長すると、対流層が厚くなり、必然的に2層の混合が大規模に起こることがわかった。 ネビュラガスには、大量の希ガスが含まれており、量的にも同位体組成的にも、現在の地球大気のものとは異なっている。そのため、地球サイズの惑星では、混合によって混ざってしまったネビュラガス成分が、何らかのメカニズムで失われる必要がある。そのメカニズムとして、太陽UVによる大気の散逸を考えた。惑星形成時の太陽EUVが現在の100倍程度強いことと、惑星大気が分子量の小さな水素大気を主体とすることから、大規模な水素大気の散逸が起こる。そして散逸する水素分子に引きずられて分子量の大きな希ガスも散逸し、現在の地球大気中の希ガス量まで減少させることが可能であることがわかった。
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