2004 Fiscal Year Annual Research Report
小型衛星を用いた、ガンマ線バーストのエネルギー転換と粒子加速の研究
Project/Area Number |
04J04282
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古徳 純一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小型衛星 / APD / Cute-1.7 |
Research Abstract |
ガンマ線バースト衛星「風鈴」の開発製作、および今後の宇宙開発の要となる大型衛星搭載のための前段として必須の条件である、次世代放射線検出器アバランシェフォトダイオード(APD)の宇宙での動作実証のために、2005年度冬の打ち上げを目指してCute-1.7の開発製作を鋭意遂行中である。今年度は、Cute-1.7のエンジニアリングモデル(EM)の製作を行ない、その性能の評価を行なった。 Cute-1.7に搭載する頭脳部である携帯端末(PDA)およびアバランシェフォトダイオード(APD)は、今回が初めての宇宙使用であるため、衛星軌道上の放射線損傷に対するデータがほとんどない。そのため、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において、陽子線を当てて損傷の度合いを調べた。その結果、PDAについては全く問題ないと結論した。APDは、暗電流の増加が見られたものの、軌道上で性能が致命的に劣化することはないと結論した。 軌道上での荷電粒子の入射レートは、MHzという非常に高いレベルまで到達するおそれがある。計数能力の測定のため、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光施設を利用して、8keVの単色X線を用いた高レート試験を行なった。その結果、軌道上で予測される2MHzまで問題なく計数できることがわかった。 12月には、これら環境耐性試験をクリアしたEMを、工学系の提供する衛星バス部との統合した状態での試験を行ない、今回宇宙での初使用となるUSB通信が確立できることを確認した。今年度初頭には未だブレッドボードレベルであった状態からEM品を作製し、その諸特性を徹底的に調べあげ、基本的なデザインが合格であることを確かめた。
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