2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクノロジーを応用した昆虫フェロモンの同定と受容過程の解明
Project/Area Number |
04J04344
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河津 圭 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フェロモン / 走査トンネル顕微鏡 / コブノメイガ |
Research Abstract |
1 昆虫性フェロモンの走査トンネル顕微鏡による観察 走査トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope : STM)により、前報のシス体に続いて、合成品のトランス体モノエンアルコール分子であるE11-18:OHをHOPGおよび2硫化モリブテン(MoS_2)基板上に展開して観察した。グラファイト基板上に吸着させたE11-18:OHの単分子層のSTM像は、基板表面の炭素原子の配列構造を反映して、規則的な縞状の周期的構造をもつことが明らかとなった。さらにこの周期構造を構成する単位構造はE11-18:OH分子によく対応するものとして説明することができた。また、E11-18:OH分子の二重結合位置に相当するbright spotの観察にも成功した。MoS_2基板上に吸着させたE11-18:OHの単分子層のSTM像も、基板の配列構造を反映して、規則的な周期的構造をもつことが明らかとなった。さらに今までに観察されたシス体モノエンアルコールであるZ9-18:OH、Z11-18:OH、Z13-18:OHのSTM像と比較したところ、二重結合の部分を境とした形状の差異、すなわち、シス体とトランス体の構造の違いを明確に区別することができた。 これによりSTMは、フェロモン分子の二重結合の位置だけでなく、構造異性体をも判別できることを明らかにすることができた。これらの結果は、フェロモン分子の構造決定のためにSTM観察が有益な情報を与えることを示している。 2 コブノメイガの性フェロモン地理的変異 インド産とフィリピン産のコブノメイガの性フェロモンは、日本産コブノメイガのブレンド(日本ブレンド)とは成分自体がまったく異なる別の性フェロモン成分(Z11-16:Ac, Z13-18:Acの2種)からなり、各々で異なるブレンド比(インドブレンド、比率1:20-16:20、フィリピンブレンド、比率98:2)である。これら3種類の合成ブレンドを用いて一部日本への飛来源に含まれるインドネシアで野外試験を実施したところ日本ブレンドにのみ誘引された。インドネシア個体群のメスの性フォロモンを分析したところ、日本ブレンドだけが検出された。
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