2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクノロジーを応用した昆虫フェロモンの同定と受容過程の解明
Project/Area Number |
04J04344
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河津 圭 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フェロモン / 走査トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
1 昆虫性フェロモンの走査トンネル顕微鏡による観察 走査トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope : STM)により、合成品のトランス体モノエンアルコール分子であるE9-18:OH、E11-16:OHをHOPGおよび2硫化モリブデン(MoS_2)基板上に展開して観察した。グラファイト基板上にトランス体モノエンアルコールの単分子層を吸着させた表面をSTMで観察すると、分子が規則的に配列した列状構造が観察された。また列構造の中のbright spot列は二重結合位置に相当することも明らかになった。MoS_2基板上に吸着させたトランス体モノエンアルコールの単分子層のSTM像も、分子の構造を反映した、周期的な列構造をもつことが明らかとなった。さらに今までに観察されたシス体モノエンアルコールのSTM像と比較したところ、二重結合の部分を境とした形状の差異、すなわち、シス体とトランス体の構造の違いを明確に区別することできた。これによりSTMは、フェロモン分子の二重結合の位置だけでなく、構造異性体をも判別できることを明らかにすることができた。また、配列についても物理的に興味のある結果が得られた。さらにこの周期構造を構成する単位構造はそれぞれの分子によく対応するものとして説明できた。 以上のように、これら、E11-160H分子,E9-180H分子をHOPG及びMoS2基板上に吸着させたときのSTM像は、それらの分子に特有のものとなっており、分子の長さ、2重結合の位置、幾何異性体など個々の分子に関する情報を与えると共に、これらの分子の配列自体も、それらの分子に特有のものとなっていることが明らかになった。 このことは、STMがフェロモン分子の同定において有力な情報を与えることを示している。今後、このようなフェロモン分子の同定に特化したSTM装置の開発が期待される。
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