2004 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸エステル結合を有しかつ高度に官能基化された抗腫瘍活性分子の不斉合成
Project/Area Number |
04J04501
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
王 永剛 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | phospholine / 有機合成 / キレート型付加反応 / fostriecin / ラクトン |
Research Abstract |
Phoslactomycinとphospholineは近年単離、構造決定された抗生物質である。これらの物質は造血機能異常の治療に有効であり、臨床への応用が期待されている。しかし,作用メカニズムの詳細はまた解明されていない。平成16年度では,以前申請者が手がけたfostriecinの合成戦略を活用してphospholineの合成研究を行なった。 分子中央部分に相当するケトンAをfostriecinの合成法を改良して合成した。次に,このケトンに対して左のラクトン部分に相当するビニルアニオンとのキレート型付加反応を行った。しかし,fostriecin合成の時とは異なり,ケトンAのβ位にあるシリルオキシ基が脱離してしまった。このキーステップを実現するため,各種のビニルアニオンを検討したところ,CH_2=CHMgBrを用いると首尾よく付加反応が進行した。こうして導入したビニル基をオゾン分解し,得られたアルデヒドに不斉アルドール反応を行なった。ラクトン部の構築にはグラブス触媒を用いるメタセシスを検討したが,fostriecinの場合と異なり全く反応しなかった。第2世代の触媒を用いてもラクトン体は得られなかった。その後種々の方法を試み,cisオレフィンを与える条件下でWittig反応を行うとラクトン環が収率よく構築できることが判明した。続いて,分子右側にあるアセチレン基をビニルヨウ素基に変換し,Pd触媒を用いてシクロヘキシルビニル基を導入しphospholineの全炭素骨格を構築した。次に,シリルオキシ基をアジド経由でアミノ基に変換した。現在,水酸基とアミノ基の脱保護を検討している。
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