2004 Fiscal Year Annual Research Report
電解質膜内磁気共鳴ミクロ画像計測に基づく燃料電池の熱物質輸送現象の解明と高性能化
Project/Area Number |
04J04619
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
寺西 一浩 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 物質輸送現象 / MRI計測 / イオンクラスターモデル |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池における電解質膜内プロトン伝導度は含水量に大きく依存する事が知られており,膜が乾燥するとプロトンが移動しにくくなり燃料電池の出力低下の要因になることが知られている.このため,発電状態の燃料電池内における電解質膜を湿潤状態に保つことが技術的な課題の一つとなっている.当該年度の研究は,素材が全く同じであり膜厚のみ異なる電解質膜の含水特性が異なる原因を究明することを目的に,X線回折(XRD)による計測を行った.その結果,膜厚のみ異なる電解質膜からのXRDスペクトルは異っていることが分かった.このことは膜厚の異なる膜のクラスターのサイズと間隔が同一の素材で作った物であるにもかかわらず異なっていることを示していると考えられる.クラスターサイズや間隔は電解質膜の含水挙動と直接関連していると考えられるため,膜厚による含水特性の違いはイオンクラスターのサイズと間隔の違いによることが示された.また,プロトン伝導度の含水量依存性はクラスターモデルで説明されているが直接的な根拠に乏しいのが現状であるため,重水素核と水素核を区別することが出来る磁気共鳴イメージング(MRI)計測を用いて電解質膜内プロトン輸送機構の解明を目的に研究を行った.その結果,発電状態燃料電池における電解質膜内のプロトン輸送現象は,プロトンホッピング機構によるものであることを明らかにした.また,クラスターモデルで提案されているクラスター内の自由水とスルホン酸基周辺に存在すると考えられている束縛水の存在を示す根拠を得た.
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Research Products
(3 results)