2005 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙プラズマ中の大規模渦運動におけるスケール間結合効果について
Project/Area Number |
04J04622
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 琢磨 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 渦 / ケルビン・ヘルムホルツ / 宇宙プラズマ / MHD / 非MHD / 磁気リコネクション / スケール間結合 / 電子慣性 |
Research Abstract |
前年度に続き、今年度も宇宙プラズマ中に発生する大規模渦運動の性質を理解するために、様々な初期条件の下で2次元シミュレーションを行った。シミュレーションには従来多く用いられている単一電磁流体方程式(MHD方程式)ではなく電子質量の効果も含めた2流体方程式を用いているので、発展した渦内部に生み出される小スケール領域で起こる電子効果も含めながら大規模渦運動について計算することが可能である。特に磁場が渦の巻く面内に成分を持っている場合は、渦内部に磁場が巻き込まれることにより「磁気リコネクション」が発生することが従来のMHD方程式による研究から示されている。しかし、MHD方程式で磁気リコネクションを扱う場合は、本来ないはずの異常な電気抵抗を考慮しなければならないので大規模な渦の流れの中で起こる磁気リコネクションを自然に記述することができない。今年度はこの渦内部で派生する磁気リコネクションに注目し、小スケールの電子効果を含めることで自然に磁気リコネクションを起こすことのできる2流体シミュレーションを用いた研究を行った。 まずは簡単な場合として、磁場が渦の巻く面内の成分しか持たない場合に注目し、所期磁場の構造によって発展する渦の構造がどのようになるかを体系的にまとめた。その一部をまとめた論文が受理された[Nakamura and Fujimoto, GRL, 2005]。また、この結果はオーストリアで行われた国際学会で発表した。さらに、これら簡単な場合の結果を元に、渦運動の内部で起こる磁気リコネクションが実際の宇宙空間でも起こり得るかどうかを調べ、地球磁気圏脇腹では頻繁に起こり得るという結果を示し、それらをまとめた論文を現在投稿中である。この結果はアメリカで行われた国際会議及び国内の学会・研究会で発表した。 現在は、引き続き2次元2流体シミュレーションにより磁気リコネクションと渦運動の相互作用について詳しくその性質を調べるのと同時に、シミュレーションの結果と人工衛星によるデータの比較を行っている。また3次元シミュレーションによる研究も開始している。
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Research Products
(2 results)