2004 Fiscal Year Annual Research Report
高効率光水素発生系の構築を目指したタンパク質間電子伝達機構の解明
Project/Area Number |
04J04644
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
飯田 慎 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チトクロームc_3 / ヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
チトクロームc_3は、ヘムを4つ有するヘムタンパク質である。これまでのチトクロームc_3に関する研究の多くは、分子内電子移動などチトクロームc_3の内部に関わるものであり、その生理的電子伝達体であるヒドロゲナーゼとの結合に関する実験的な証明はほとんど行われておらず、ヒドロゲナーゼの結合部位は、明らかとなっていない。これまでに、チトクロームc_3を化学修飾することにより、ヘムIV近傍のリジン残基が修飾された場合に、ヒドロゲナーゼの活性が低下することが分かっている。本年度は、ヒドロゲナーゼに対するチトクロームc_3の結合部位を遺伝子操作による部位特異的変異により求めることを目的とした。チトクロームc_3のヘムIV近傍のリジン残基であるK58、K73、K95をグルタミンおよびグルタミン酸に変異させたチトクロームc_3を調製した。また、対照として、ヘムI近傍であるK4をグルタミン酸に変異させたものも調製した。これらを用いてヒドロゲナーゼの活性測定を行った結果、Lys73を変異させた場合において、反応速度が大きく低下することが分かった。水素発生反応および水素吸収反応のいずれにおいても最大反応速度の低下、活性化エネルギーの上昇がみられたことから、Nativeチトクロームc_3の場合とはヒドロゲナーゼとの複合体が異なると考えられる。以上のことから、Lys73を中心としたヘムIV近傍が、ヒドロゲナーゼとの電子授受に重要であると考えられる。
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