2005 Fiscal Year Annual Research Report
高効率光水素発生系の構築を目指したタンパク質間電子伝達機構の解明
Project/Area Number |
04J04644
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
飯田 慎 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チトクロームc_3 / ヒドロゲナーゼ / 非天然アミノ酸 |
Research Abstract |
硫酸還元菌由来チトクロームc_3は、c-ヘムを4つ有するヘムタンパク質である。チトクロームc_3の機能解析を行うため、基板への部位特異的固定化を行なう必要がある。また、光水素発生系へ応用するため、電子伝達物質であるビオローゲンを部位特異的に結合することを考えている。通常、固定化や結合には天然アミノ酸の側鎖の官能基を用いる。しかし、一般に同じ種類の残基を複数個所有するため、天然網アミノ酸側鎖を用いる場合には部位特異的な結合は困難である。そこで、本年度は、チトクロームc_3への非天然アミノ酸導入を目的とした。非天然アミノ酸に特有の官能基を反応に用いることによって、部位特異的な結合ができると期待できる。これまでに、チトクロームc類など翻訳後修飾を要するタンパク質への非天然アミノ酸導入は報告例が無い。しかし、チトクロームc_3と非天然アミノ酸導入系(ARS, tRNA)に加え、チトクロームc類翻訳後修飾群(ccm)を大腸菌内で共発現することにより、非天然アミノ酸導入シトクロムc_3を得られると考えた。全ての遺伝子をクローニングし、プラスミドに組み込んだ。プラスミドへの振り分け方や耐性抗生物質の選択、培養条件の検討を行なった。pUC19由来のプラスミドにチトクロームc_3とARSを組み込み、pACYC184由来のプラスミドにtRNAとccmを組み込み、大腸菌BL21(DE3)株へ形質転換した。この大腸菌を改変M9培地でやや嫌気状態で培養した結果、非天然アミノ酸導入シトクロムc_3の発現に成功した。得られた非天然アミノ酸導入シトクロムc_3は、質量分析により、翻訳後修飾が行なわれたことがわかった。さらに、紫外可視吸収スペクトルの形状が硫酸還元菌から生成されたものと同一であったことから、ヘム近傍の構造に変化が無いことがわかった。
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