2004 Fiscal Year Annual Research Report
層状ダブルペロブスカイト・マンガン酸化物における電荷整列転移の圧力効果
Project/Area Number |
04J04647
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
岡本 裕司 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 機能性酸化物 / Mn酸化物 / 磁気抵抗効果 / 酸素不定比性 / ダブルペロブスカイト / ハーフメタル |
Research Abstract |
本研究では、酸素欠損型層状ダブルペロブスカイトMn酸化物:BaREMn_2O_<5+δ>(REは希土類元素)における各RE種での酸素不定比性とこれに伴う物性変化を系統的に解明することを目的としている。本年度は、P.Karen教授(ノルウェー・オスロ大学・化学科)との共同研究により、本物質と同様の結晶構造を持つCo酸化物:BaRECo_2O_<5+δ>(RE=Nd, Sm)の酸素不定比性とこれに伴う磁気特性、及び磁気輸送特性との相関について、酸素量を精密に制御した試料を用いて研究を行った。その結果、本物質の物性が僅かな酸素量の変化と強く関係していることが分かり、特に酸素量5.5を持つBaRECo_2O_<5.5>相が現在注目されている「ハーフメタル」材料と大変類似した物性を示すことが分かった。このことは、新規ハーフメタル材料を示唆する結果であり、酸素欠損型層状ダブルペロブスカイト酸化物が特異な物性を示すことがより一層明らかとなった。 本年度の研究では、更にこの「ハーフメタル」性に着目し、様々な酸素量を持つLaMnO_<3+δ>試料の作製し、本物質の酸素量と物性との相関を解明することを試みた。本物質は、既知のハーフメタル材料の1つであるシングルペロブスカイトMn酸化物や本研究で取り扱っているBaREMn_2O_<5+δ>と類似した結晶構造を持つ。これまでの研究では、超高圧(5GPa)下での熱処理を施すことで、これまで報告のない酸素過剰型LaMnO_<3.32>試料の作製に成功した。今後、これらBaRECo_2O_<5+δ>(RE=Nd, Sm)、及び、LaMnO_<3+δ>の研究を通して得られる知見が、BaREMn_2O_<5+δ>における電荷整列メカニズムの理解に役に立つだけではなく、さらには、酸素欠損型層状ダブルペロブスカイト酸化物で期待できるハーフメタル性をはじめとした特異な物性を多角的に評価することができると考えている。
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