2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J04659
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸田 喜丈 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノポーラス結晶 / 電子伝導性酸化物 / エレクトライド / 活性アニオン / 電子放出 |
Research Abstract |
12CaO・7Al_2O_3(C12A7)は内径4Åのナノ籠構造とその中にランダムに存在するフリー酸素イオン(O^<2->)で結晶が構成されている。[Ca_<24>Al_<28>O_<64>]^<4+>(4e^-)はC12A7のフリー酸素イオンを電子で100%置換した物質である。この結晶中では、置換した電子がマイナスイオンのように振舞い、いわゆる"エレクトライド"に分類することができる。エレクトライドは1984年に初めて報告されているが、有機分子とアルカリ金属元素をベースに実現されていた為-40℃以上の温度や空気中では安定に存在することができなかった。そのためエレクトライドの実用材料としての物性を調べることはできなかった。[Ca_<24>Al_<28>O_<64>]^<4+>(4e^-)は400℃の温度や空気中でも安定なこと、また、包接された電子はゆるくナノ籠内に閉じ込められていると考えられることから、本研究ではまず、[Ca_<24>Al_<28>O_<64>]^<4+>(4e^-)からの電子放出特性の検討を行った。真空度6x10^<-5>Pa、300℃まで試料の加熱が可能な真空チャンバーを用い、[Ca_<24>Al_<28>O_<64>]^<4+>(4e^-)の電子放出特性を測定した。電界集中が起こるのを防いで基礎物性を評価するため、電子放射面は鏡面研磨面とした。電子放出面とコレクタ電極間の距離は50μmに調整した。印加電圧1000V以下の領域では電子放出特性はRichardson-Dushmanの式に従い、比較的大きな温度依存性が確認された。印加電圧が1700Vを超えると温度に依存しない急激な電流値の立ち上がりが観測されたが、これはFowler-Nordheimの式に従う電界電子放出によるものであることが確認できた。また、コレクタ電極を蛍光材を塗布した透明電極に変え、電界放射型の発光素子を試作したところ、常光下での十分な発光を確認した。
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Research Products
(4 results)