2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホール候補天体における状態遷移とジェット発生機構の解明
Project/Area Number |
04J04706
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
渡会 兼也 大阪教育大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ブラックホール / 降着円盤 / X線星 / アウトフロー / 相対論効果 |
Research Abstract |
本研究はブラックホール候補天体のスペクトル状態遷移とジェット発生時の物理的状況を、理論モデルを観測と比較することで検証し、解明することが目的である。本年度は主に相対論効果を考慮したスペクトル計算コードの開発と、アウトフローの効果を含めた降着円盤の構造を求める計算コードを開発した。 1.超臨界降着円盤からのスペクトルは、相対論効果や降着流の幾何学的な厚みが重要だと思われているにもかかわらず、観測者に対する軌道傾斜角の依存性は殆んど議論されてこなかった。私が開発したスペクトル計算コードは、Ray-Tracing Methodを使うことで、特殊相対論的なドップラー効果だけでなく、一般相対論的な効果(重力による光の曲がり)が扱えるだけでなく、降着円盤の幾何学的な厚みの効果(自己遮蔽効果)もすべて計算可能にした。その結果、降着円盤の観測者に対する傾斜角が70度以上になると、ブラックホール近傍からの放射が隠されることを示した。これは今までの研究にはない、新しい知見である。この結果はまとめられ、Publications of Astronomical Society of Japan誌に投稿し、3月23日に受理されている。 2.今までの超臨界降着流の計算には輻射によるアウトフローの効果が含まれていない。降着流の各半径で輻射と重力を計算し、そのバランスからアウトフローのモデリングを行うことで、アウトフローの効果が入った降着流の構造を計算することに成功した。結果、今までの超臨界降着流モデルでは、熱的に安定な解しか得られなかったのに対し、アウトフローを考慮することによって、熱的に不安定な解が得られた。さらにブラックホール近傍ほど降着率が低い領域が形成され、不安定の時間スケールが短くなることを示した。この結果は、2005年3月に行われた日本天文学会春季年会で発表した。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Peculiar Characteristics of the Hyper-Luminous X-Ray Source M82 X-12004
Author(s)
Matsumoto, H., Tatsuya, I., Tsuru, T.G., Matsushita, S., Watarai, K., Mineshige, S.
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Journal Title
Progress of Theoretical Physics Supplement 155
Pages: 379-380
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