2005 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ・ユダヤ社会における「ユダヤ人国家」・「パレスチナ」
Project/Area Number |
04J04708
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
池田 有日子 国立民族学博物館, 地域企画交流センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | シオニズム / ユダヤ人国家 / アメリカ・ユダヤ人 / パレスチナ |
Research Abstract |
アメリカ・ユダヤ人の、ユダヤ人国家やパレスチナに対する対応、関与のあり方について明らかにすることを目的とする本研究において、昨年度まではユダヤ人国家を支持、支援する「シオニスト」を中心に研究を行ってきたが、今年度はアメリカ・ユダヤ人の多様性に鑑み、非シオニストのユダヤ系団体の、シオニズム、ユダヤ人国家への対応を検討した。これまで明らかになったことは、非シオニスト系、とりわけ同化程度の高いドイツ系ユダヤ人は「二重の忠誠」の嫌疑をかけられることを恐れ、当初はシオニスト運動に反対していたこと、しかし第一次大戦直後、さらにはドイツのナチス政権成立以降、同胞救済の願望とアメリカへのこれ以上のユダヤ移民の流入は回避したいというジレンマのなかで、パレスチナにユダヤ人国家を建設することに積極的な意義を見い出しシオニスト運動への協力、連携を試みるようになったということ、だった。この意味で、アメリカ・ユダヤ社会においてシオニスト運動が広範な支持を得るようになったのは、シオニズムのイデオロギーそのものへの共感ではなく、「ユダヤ難民」という具体的な問題への対処を通じてであったといえる。以上の成果を、以下の通りに報告を行った。 1、北九州アメリカ史研究会(日時:2005年12月17日午後2時-5時会場:山口県立大学国際文化学部会議室) 『19世紀末から1940年代初頭にいたるアメリカ・シオニスト運動の展開-アメリカ・ユダヤ人とユダヤ人国家-』 2、近代思想史研究会(日時:2005年12月10日(土)午後2時30分〜5時30分場所:関西大学法学部第2合同研究室) 『アメリカ・ユダヤ人社会における「ユダヤ人国家」・「パレスチナ」-1897年から1942年にかけてのアメリカ・シオニスト運動者の論理・戦略を中心として-』
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