2004 Fiscal Year Annual Research Report
現代シリアにおけるイスラームと政治-国家の変容とイスラーム思想の関係
Project/Area Number |
04J04715
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
末近 浩太 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 政治学 / レバノン / シリア / 地域研究 |
Research Abstract |
研究の目的は、現代シリア(シャーム地方)における国家の変容のなかで、イスラーム思想がいかに形成・発展し、翻って現実の政治にどのように作用しているかを解明することである。今年度は、現代シリアの構成国家のなかでも特にレバノンとシリア・アラブ共和国に注目し、そこで活動するイスラーム運動の内的論理の分析を試みた。 まず、アラビア語原典による文献調査と夏季のフィールドワークを通して、2000年以降のレバノンのヒズブッラーの国内・地域・国際政治の3つのレベルでの戦略・戦術の変容を分析した。ヒズブッラーはその革命理念を変質させることなく、戦略・戦術レベルの巧みな舵取りにより、新たな政治環境に適応している。今日ヒズブッラーはシリア(シャーム地方)政治、特にシリア・アラブ共和国によるレバノン実効支配、シリア・アラブ共和国=イスラエル和平交渉の趨勢を左右する有力な政治アクターとなっている(『現代の中東』論文)。 次に、シリア・アラブ共和国の対レバノン、対イスラエル、対米関係を検討した。ここで注目したのが、上記のヒズブッラーをはじめとするイスラーム運動諸派である。国際関係論的なアプローチの一定の有効性を確認した上で、通常の国家間関係の分析からはこぼれ落ちる傾向のある非国家アクターとしてのイスラーム運動の動向を検討することで、地域性・歴史性に特徴付けられるシャーム地方独自の政治的ダイナミズムを描き出すことを試みた(地域研究的成果)(『国際政治』論文)。 このようなシーア派イスラーム運動を主軸とした研究の一方で、スンナ派のイスラーム政治思想の実態解明にも取り組んでいる。シリア・アラブ共和国最大のイスラーム運動、シリア・ムスリム同胞団の1970年代のイデオローグの政治思想を、アラビア語の原典調査から明らかにした(日本中東学会第20回年次大会にて発表)。この成果は、次年度に論文にして発表する予定である。
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Research Products
(3 results)