2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス少数民族間において教育普及格差をもたらす要因の社会経済学的分析
Project/Area Number |
04J04717
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀧田 修一 神戸大学, 国際協力研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラオス / 教育開発 / 少数民族 |
Research Abstract |
基礎教育の普及は開発途上国の発展にとって必要不可欠な問題である。それは最貧国の一つであるラオスも言える事であるが、ラオスの場合その特徴的な性質として多民族国家であることがあげられる。特に貧困層である少数民族への基礎教育普及は現在も困難を極めており、これがラオスの基礎教育普及にとって大きな問題となっている事が仮定として考えられる。しかし未だ、民族間での教育格差の現状とその要因に関しては把握、解明されぬままである。本研究は現地調査によって、そのような民族間にどのような教育格差・不平等性が生じているか、また少数民族への基礎教育普及停滞の要因を探り、民族間での教育格差をもたらす要因を明らかにするものである。その手段として、通常の定性的分析の他に定量的分析を行うことで、既存研究において解明されなかったラオス教育開発の停滞と社会、民族、文化、経済との関連性、を明らかにする事を試みた。特に、現在ラオスにおいて対応がせまられる貧困とその削減に向け、教育の果たす役割と、そこに少数民族問題がどのように関係しているかについて焦点を当てた。 具体的には、ラオス、ヴィエンチャン県カシー郡において、郡教育事務所協力の下、インタビュー、質問紙調査や参与観察を含む定性調査を行い、就学状況決定のメカニズムを分析枠として回帰分析モデルを設定し、就学状況に影響を及ぼす諸変数の相対的重要性を分析した。その結果、教育インフラ不足に代表される教育の供給不足等、教育行政側の問題は住民の収入の低さ、流入人口の急激な増加、人口の過疎などによる財政水準の低さだけでなく、貧困家庭の増加、子供の数が多い世帯、非ラオス語を母族語とする等によっても特徴付けられる。つまり、貧困層である少数民族への教育拡大に向けた戦略が必要となっている事が分かった。
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