2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス少数民族間において教育普及格差をもたらす要因の社会経済学的分析
Project/Area Number |
04J04717
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀧田 修一 神戸大学, 国際協力研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ラオス / 教育開発 / 少数民族 / 教員養成 |
Research Abstract |
基礎教育の普及は開発途上国の発展にとって必要不可欠な問題である。それは最貧国の一つであるラオスも言える事であるが、ラオスの場合その特徴的な性質として多民族国家であることがあげられる。特に貧困層である少数民族への基礎教育普及は現在も困難を極めており、これがラオスの基礎教育普及にとって大きな問題となっている事が仮定として考えられる。しかし未だ、民族間での教育格差の現状とその要因に関しては把握、解明されぬままである。本研究は現地調査によって、そのような民族間にどのような教育格差・不平等性が生じているか、また少数民族への基礎教育普及停滞の要因を探り、民族間での教育格差をもたらす要因を明らかにするものである。その手段として、通常の定性的分析の他に定量的分析を行うことで、既存研究において解明されなかったラオス教育開発の停滞と社会、民族、文化、経済との関連性、を明らかにする事を試みた。前年までに、初等中等教育段階の就学進展と、所得の向上についての関係性を中心に見てきた。 特に今年度は、前年度の研究結果を踏まえ、ラオスの教員養成と現職教員の質の問題が少数民族の就学にどのような影響を及ぼしているのか、教員養成学校の学生、現職教員研修に参加する教員を対象に質問紙調査を実施し、同地域の少数民族の就学状況との因果関係を探った。結果的には、少数民族の就学は、その家庭の所得状況よりも、同地域に何人の民族教員が存在するか、また民族教員を含め、その地域に存在する教員の質により強く影響を受けているということがわかった。これは一地域の結果であるが、ラオスの他の地域でも果たして当てはまるのか、今後の課題としたい。
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