2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳内光受容体の光情報伝達機構が解く日周活動・光周性制御の謎
Project/Area Number |
04J04797
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Research Institution | Utsunomiya University |
Research Fellow |
増田 智浩 宇都宮大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | アユ / オプシン / 生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン / 蛍光免疫二重染色 / 視索前野 / 脳内光受容体 / アルギニンバソトシン / ラジオイムノアッセイ |
Research Abstract |
今年度はアユの脳内ロドプシンが光周期の変化に応じた生殖腺発達制御に関与しているかどうかを調べた。アユの脳内ロドプシンが、生殖腺発達の制御を担うホルモンである生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)産生細胞を直接的に制御しているかを調べるため、アユロドプシン抗体と生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)抗体を用いて蛍光免疫二重染色を行った。その結果、生殖腺発達制御機構の中枢である視床下部の視索前野の視索前核大細胞部および小細胞部においてアユロドプシンに対する免疫陽性反応が観察された。一方、GnRH抗体に対する免疫陽性反応も視床下部の視索前野付近において観察されたが、同一細胞においてアユロドプシン抗体とGnRH抗体に対する免疫陽性反応は観察されなかった。これらの結果から、アユの生殖腺発達に見られる光周性が、脳内ロドプシンによるGnRH産生細胞の直接的な制御によらないことが示唆された。 またアユの脳自身が直接光に対して応答するかどうかを確かめた。厚さ200μmのアユの脳切片を明期と暗期が逆転した異なる光条件下で培養し、培養脳切片からのアルギニンバソトシンの放出量が光条件に応じた変動を示すかどうかを調べた。アルギニンバソトシンの放出はアルギニンバソプレシンに対する抗体を用いたラジオイムノアッセイ(RIA)で測定した。しかしながら、本実験においてアルギニンバソトシンは測定できなかった。RIAに用いたアルギニンバソプレシンに対する抗体がアルギニンバソトシンを認識できなかったことが原因と考えられた。今後、RIAの方法を改良することでアユの脳自身が直接光に対して応答するかどうかを確かめる必要がある。
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Research Products
(2 results)