2004 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物DNA組換え関連遺伝子のDNA傷害応答性発現制御に関する研究
Project/Area Number |
04J04864
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Research Institution | Yokohama National University |
Research Fellow |
前田 智秀 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | AtRAD51 / DNA傷害 / DNA修復 / ブレオマイシン |
Research Abstract |
本研究では、γ線やX線などにより生じたDNA鎖切断により遺伝子発現が上昇するシロイヌナズナAtRAD51遺伝子に着目し、AtRAD51遺伝子発現制御領域を利用して植物細胞内に伝達されるDNA鎖切断シグナルを可視化する系の開発を試みた。AtRAD51遺伝子発現制御領域の下流にホタル由来改変ルシフェラーゼ遺伝子(Fluc+: modified firefly luciferase)を連結した融合遺伝子(AtRAD51::Fluc+)を作製し、植物細胞の染色体に組み込む為のバイナリーベクターを構築した。アグロバクテリウム法を用いて、タバコ培養細胞、タバコ植物体、シロイヌナズナ植物体にAtRAD51::Fluc+融合遺伝子を導入し、形質転換体を取得した。これらの形質転換体を用いて発光解析機器により、各種刺激処理に対するAtRAD51の転写制御解析を行った。AtRAD51::Fluc+形質転換タバコ培養細胞、形質転換タバコ植物体、形質転換シロイヌナズナ植物体にDNA二重鎖切断誘導剤であるブレオマイシンを様々な濃度で添加したところ、ブレオマイシン濃度依存的なレポーター遺伝子の誘導が観察された。また、AtRAD51::Fluc+形質転換タバコ葉に対して、各種刺激処理を行つたところ、DNA鎖切断を引き起こす刺激であるUV-B処理とブレオマイシン処理特異的なAtRAD51の発現誘導が観察された。それに対して、重金属や植物ホルモン、病害応答遺伝子誘導剤などの処理においては、植物組織への生体異物反応が観察されたもののArRAD51の発現誘導は観察されなかった。これらのことより、AtRAD51の発現誘導はDNA鎖切断刺激処理部分において特異的に観察され、AtRAD51のDNA傷害応答制御は細胞自律的に行われていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)