2004 Fiscal Year Annual Research Report
ハドロン衝突型実験に於けるQCD物理学の検証、及びQCD事象生成プログラムの開発
Project/Area Number |
04J04881
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
津野 総司 岡山大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | テバトロン加速器 / LHC加速器 / CDF実験 / ATLAS実験 / 数値理論計算 / ファインマンダイアグラム |
Research Abstract |
ハドロン衝突型実験に於けるQCD事象生成プログラムの開発を行なってきた。高エネルギー加速器研究機構・数値理論計算グループ(南建屋グループ)によって開発されたファインマンダイアグラム自動計算プログラム、GRACEシステムを基に本研究は遂行されている。GRACEシステムを使用すれば、始状態、終状態の粒子名、及び反応のオーダーと種類を与えれば、すべての関連するファインマンダイアグラムを生成し、コンピューティングによる摂動計算が可能である。一方で、反応過程が複雑になればなるほど、必要な計算量が乗算的に増える。ハドロン衝突型実験は於いて、衝突粒子は、いくつかの素粒子からなる複合粒子として表されるので、単純な素過程であっても、膨大な数のファインマンダイアグラムを計算しなければならず、多大な計算時間を必要としてしまう。これは、電子・陽電子衝突実験などの素粒子衝突事象を扱う場合ならば、とくに問題とならない。ハドロン衝突型実験に於けるこの種の計算実行時間を短縮するための工夫が、現行のGRACEシステムには必要である。 本研究では、素粒子フレーバーのファインマンダイアグラムレベルでの加算的な足し上げを実行することにより、簡単な素過程反応ならば、100倍以上の計算時間の向上を実現した。さらに、現システムではこ膨大な計算量のため、実質、計算不可能であった素粒子反応も計算可能となった。これは、衝突粒子のエネルギーの向上に伴い、極めて重要な要素となる。この成果をロシアで行なわれた国際会議で発表した。現在、論文執筆中である。 一方、現在稼動中の最高衝突エネルギーをもつ米国フェルミ国立加速器研究所に直接足を運び、現場からの要望を聞き入れ、我々のプログラムにフィードバックを掛けている。新しい理論モデルもGRACEシステムに組み込んできた。また、実験グループにも貢献し、実験データ解析にも従事している。
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