2004 Fiscal Year Annual Research Report
高速酸化物イオン伝導体ランタンガレート系酸化物の伝導機構の解明
Project/Area Number |
04J04955
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
梶谷 昌弘 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ペロブスカイト / 酸化物イオン伝導体 / 中性子回折 |
Research Abstract |
優れた酸化物イオン伝導性を示すLaGaO_3系酸化物の伝導機構の解明を最終目標に,本年度はLaGaO_3(LG),LaGa_<0.9>Mg_<0.1>O_<2.95>(LGM91),La_<0.9>Sr_<0.1>Ga_<0.9>Mg_<0.1>O_<2.9>(LSGM)の高温中性子回折測定を実施し,室温,300,500,800℃における各試料の結晶構造を明らかにした。LGの結晶構造は室温では斜方晶系(Pbnm)であったが,300〜800℃では菱面体系(R-3c)であることがわかった。LGM91の結晶構造は,Mgの置換によって対称性が向上し,斜方晶系(Ibmm)であった。500〜800℃では,菱面体系(R-3c)であり,LGの高温相と同じ構造であった。一方、LSGMの結晶構造は,室温〜300℃ではLGとLGM91の結晶構造とは異なり,単斜晶系(I2/a)であり、500〜800℃ではLGやLGM91の高温相と同じ構造であった。以上のことから,SrおよびMg置換によって結晶構造は大きく異なることが明らかになった。 各試料の構造モデルをみると、全ての試料においてGaO_6八面体の傾きが観察された。八面体の傾きは温度上昇に伴い、緩和されることがわかった。また、LGやLGM91に比べて、LSGMの八面体の傾きは大きく緩和されていた。これは、Ga-Oの結合長が小さくなることで、LSGMの結晶構造が安定化されるためであると考えられる。また、LSGMの格子体積はLGやLGM91より大きいことがわかった。 以上のことから、LSGMが優れた伝導性を示す原因としては、GaO_6八面体の傾きが大きく緩和されることおよび格子体積が大きいことなどが考えられる。 今後は、LSGMと酸素欠陥濃度の等しいLaGa_<0.8>Mg_<0.2>O_<2.9>を合成し、結晶構造および伝導特性の評価を行い、LSGMと比較検討し、より詳細に伝導メカニズムの解明を試みる。
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