2006 Fiscal Year Annual Research Report
高速酸化物イオン伝導体ランタンガレート系酸化物の伝導機構の解明
Project/Area Number |
04J04955
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
梶谷 昌弘 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化物イオン伝導体 / 固体酸化物燃料電池 / ペロブスカイト |
Research Abstract |
LaGaO_3系酸化物の伝導機構の解明を最終目標に,前年度は,酸素欠陥濃度が等しいLaGa_<0.8>Mg_<0.2>O_<2.9>(LGM82)を合成し,室温〜800℃における結晶構造解析とイオン伝導度測定を行い,La_<0.9>Sr_<0.1>Ga_<0.9>Mg_<0.1>O_<2.9>(LSGM9191)と比較検討した.その結果,LSGM9191の方がLGM82より酸化物イオンが拡散しやすい環境にあることを見いだし,その要因について酸化物イオンの伝導経路と考えられるサドルポイントの大きさを計算したが,LGM82のサドルポイントの方がLSGM9191のそれよりも大きく,イオン伝導度測定結果と一致しないことが問題であった.そこで,本年度は,この矛盾を解決するために,構造解析結果の再考を行った.また,LSGM9191とLGM82のMEM解析による酸化物イオン伝導経路の可視化も検討した. 酸化物イオンの伝導経路であるサドルポイントを形成するカチオンの熱振動によってサドルポイントの大きさが変化すると考え,カチオンの熱振動を考慮したサドルポイントの大きさを再計算したところ,イオン伝導度測定の結果と一致した.また,両試料の酸素の熱振動を比較したところ,LSGM9191の方がLGM82よりも酸素の熱振動が大きく,かつ,隣接する酸素サイト方向に広がっていた.以上の結果より,LSGMが高い酸化物イオン伝導性示す要因としてカチオンの熱振動によってサドルポイントが広がることおよび酸素の熱振動が大きいことが挙げられる. なお,MEM解析による酸化物イオンの伝導経路の可視化の検討を行ったところ,伝導経路は見えないことがわかり,更なる検討が必要であると考えられる.
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Research Products
(3 results)