2004 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシスに着目した、胃粘膜における攻撃因子と防御因子の作用機構の解明
Project/Area Number |
04J04967
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
星野 竜也 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アポトーシス / 胃粘膜 / NSAID / 小胞体 |
Research Abstract |
胃粘膜ストレスである非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)によるアポトーシスの誘導経路の解明 私はNSAIDがアポトーシスを誘導する分子機構として、NSAIDが小胞体ストレス応答経路を介している可能性を考えた。そこで、まずATF6,PERK, IRE1(いずれも小胞体膜上のタンパク質)、及び小胞体ストレス依存のアポトーシス誘導に関与する転写因子(CHOP, XBP-1,ATF4)に着目し、NSAIDがこれらのタンパク質の発現量等に影響を与えるのかをウェスタン・ブロット法、及びノザン・ブロット法により調べた。その結果、NSAID処理により、濃度依存的、時間依存的にATF6,PERK, IRE1の活性化、あるいは誘導が起きた。同様にNSAIDはCHOP, XBP-1,ATF4を活性化、あるいは誘導することが分かった。これらの結果より、NSAIDが小胞体ストレスとして働き、小胞体ストレス依存のタンパク質を誘導することが分かった。また、これらの小胞体ストレス応答を起こす条件ははいずれもNSAIDがアポトーシスを誘導する条件と一致していた。そこで私はこの小胞体ストレス応答により誘導され、アポトーシスを誘導する因子であるCHOPに注目した。私はNSAIDによるアポトーシス誘導にCHOPが関与しているのかを調べるため、CHOPノックアウトマウスより細胞を採取した、CHOP欠損細胞を用いて解析を行った。その結果、CHOP欠損細胞ではNSAIDによるアポトーシスが抑制された。従って、NSAIDによるアポトーシスにCHOPが関与していることが分かった。これら全ての結果をまとめると、NSAIDは小胞体ストレス応答を誘導すること、そしてアポトーシス誘導因子であるCHOPの発現誘導を介して胃粘膜細胞にアポトーシスを誘導することが分かった。本研究は、NSAIDによる細胞死に小胞体ストレス応答経路が関与していることを初めて示したものである。今後は、NSAIDがどのような分子機構により、小胞体ストレス応答を誘導しているのか、さらに上流の因子について検討する必要がある。
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Research Products
(3 results)