2004 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病で見られる神経細胞死誘導機構の解明とその抑制法の開発
Project/Area Number |
04J04983
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Research Fellow |
人見 淳一 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小胞体 / 細胞死 / アルツハイマー病 / カスペース |
Research Abstract |
細胞内小器官の一つである小胞体(ER)は蛋白質の折りたたみや細胞内カルシウム代謝の調節などを行う器官であるが、これらの機能が障害されるとER内部に折りたたみの不十分な蛋白質が蓄積し(この状態をERストレスと呼ぶ)過剰なERストレスによって細胞死が誘導されることが知られている。これまでに我々を含めた多くのグループがアルツハイマー病(AD)などの疾患でみられる神経細胞死がERストレスによって引き起こされる可能性について報告した。しかしながら、その具体的な細胞死実行機構についてはまだ明らかになっていない。我々はヒトの神経芽細胞腫SK-N-SHにおいてマウスカスペース12に相応すると考えられるヒト特異的なカスペース4がERストレス特異的に活性化され、更にアミロイドβの毒性に関与している可能性について報告した(Hitomi et al. J.Cell Biol. 165,347-356.2004)。また、カスペース4はヒトAD脳において顕著な発現上昇が認められ、ADでみられる神経細胞死に関与している可能性が示唆された。カスペース4についてはこれまでその活性化制御機構についてほとんど知られていないので、カスペース4の活性化調節機構について検討を行った。そこでまず、カスペース4との結合因子の探索を行った。ERに特異的に局在し、カルシウム代謝の異常による細胞死への関与が示唆されているBAP31に着目し免疫沈降法を行ったところ、BAP31とカスペース4は強く結合していることが明らかになった。次に、BAP31が酵素であるカスペース4の基質として働く可能性について検討を行った。インビトロトランスレーション法によって得た合成BAP31と活性型合成カスペース4との反応によってBAP31が切断されることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)