2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J04998
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Research Fellow |
富士 晃嗣 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遷移金属 / 触媒反応 / カルボニル化反応 / アルデヒド / アセチレン |
Research Abstract |
有機合成の分野において、遷移金属触媒による一酸化炭素を用いたカルボニル化反応は、様々なカルボニル化合物を合成できる、直接的かつ有効な手法として広く研究されている。しかし、毒性の高い一酸化炭素ガスの使用が必須であり、またその多くが高圧の一酸化炭素下で行われるため、高圧反応用の特殊装置が必要であった。 本研究は、一酸化炭素そのものを用いることなく、通常の有機反応と同様に扱えるカルボニル化反応の開発を目的とする。具体的には、一酸化炭素の代わりにアルデヒドを一酸化炭素源とした、触媒的カルボニル化反応を検討してきた。 今年度は、分子内にアセチレン、オレフィン部位を有するエンイン類のカルボニル化反応を検討し、本カルボニル化法を実証した。すなわち、ロジウム錯体を触媒とした、アルデヒドからのカルボニル基移動によるエンイン類のカルボニル化反応を見い出した。 さらに、安価なホルムアルデヒド水溶液を一酸化炭素源とし、不斉疎水性配位子を用いた水中でのエンイン類の環化カルボニル化反応を見い出した。この反応では、様々な1,6-エンイン類が高い不斉収率で双環性ケトンへと変換されることが明らかとなった。 また、アセチレンとホルムアルデヒドとの環化カルボニル化反応において、ホルムアルデヒドのカルボニル基が2分子関与した新たなカルボニル化反応を見い出した。この反応は、水溶媒中のみならず、有機溶媒中でも進行し、様々なアセチレンが高収率でブテノリドへ変換される。この反応で生じるα,β-ブテノリド類は、多くの医薬・農薬の中間体の部分構造を有しており、新たな構築法としても有用である。
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Research Products
(1 results)