2004 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質共役型受容体を介した新規RhoGEFのシグナル伝達機構の解析
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04J05012
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宮本 幸 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Rhoファミリー / グアニンヌクレオチド交換因子 / エンドセリン受容体 / JNK / HAX-1 / アダプター蛋白質 / 細胞遊走 |
Research Abstract |
我々は、以前にG蛋白質共役型受容体であるエンドセリンA(ETA)受容体からJNK活性化を介した細胞遊走抑制のシグナル伝達経路において、SrcファミリーチロシンキナーゼとRhoファミリー低分子量GTP結合蛋白質の接点に存在する分子の一つとして、新規RhoGEFであるFrgをcharacterizeした。本年度は、このFrgの活性制御機構をより詳細に解明するために、初めにFrgのProline-rich domainをベイトとしたyeast two-hybrid法を行った。その結果、Frgと結合するタンパク質の一つとして、HAX-1(HS1-associated protein X-1)が単離された。現在までに、培養細胞におけるFRGとHAX-1の結合を示唆するデータを得ているので、さらにin vitroにおける結合、及び内在性Rhoファミリー低分子量GTP結合蛋白質の活性化に及ぼすHAX-1の影響、などを指標に引き続き検討を行っていく予定である。また、Frgの生物学的役割を明らかにするために、初代中枢神経系細胞培養法の技術習得を目的とした海外研究機関への研修を行ったので、次年度以降、本手法を用いてさらなる検討を行っていく予定である。 次に、HAX-1とは別経路として、ETA受容体からJNK活性化を介した細胞遊走抑制のシグナル伝達経路において、Rhoファミリー低分子量GTP結合蛋白質の上流に介在することが予想される、アダプター蛋白質Grb2,CrkII, Nck1の関与について検討を行った。それぞれの優性抑制変異体を作製後、細胞遊走抑制に対する影響を検討した結果、アダプター蛋白質のなかでも特にNck1がウイルスでトランスフォームされた上皮細胞の遊走を受容体刺激依存的に抑制することが明らかとなった。また、Nck1の活性型変異体、およびsiRNAを用いたところ、この結果を支持するデータが得られた。さらに、SrcがNck1の上流に存在し、Cdc42とJNKを活性化して、細胞遊走の抑制を引き起こしていることが判明した。以上のことから、アダプター蛋白質Nck1がETA受容体の下流で働き、細胞遊走抑制に関与することが初めて明らかとなった。引き続き、本経路における、Nck1とFrg両者の上下関係を検討中である。
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Research Products
(1 results)