2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格制御系の多様なタンパク質分子認識と機能制御の構造的基礎
Project/Area Number |
04J05044
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高井 友美子 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | FERMドメイン / 接着分子 / CD43 / PSGL-1 |
Research Abstract |
細胞膜とアクチンフィラメントをつなぐ架橋タンパク質であるERMタンパク質のFERMドメインと、接着分子との分子認識機構の解明をめざし相互作用解析を行った。本研究ではRadixin FERMドメインとシアロムチンファミリーに属する2つの接着分子CD43、PSGL-1それぞれの細胞質ドメインとの相互作用を解析するとともに、各組の複合体での結晶化を試みた。まず、124残基からなるCD43細胞質ドメインのどの部位でFERMドメインとの相互作用がみられるか検討するために、8種類のC末端欠損体、7種類のN末端欠損体を作成し、プルダウンアッセイによる結合実験を試みた。その結果、CD43は細胞膜直下に位置する細胞質領域の20残基が必要であることがわかった。次にその20残基をペプチド合成し、Biacore(表面プラズモン共鳴)により解離定数を測定した。一方、PSGL-1は膜直下の30残基程度が必要であることが報告されていたため、18残基と32残基のペプチドを合成し、同様にBiacoreによる解離定数の測定を行い、18残基でも結合能が変わらないことを確認した。以上の結果からCD43は20残基、PSGL-1は18残基の合成ペプチドを用いてRadixin FERMドメインとの共結晶化を試みた。どちらもポリエチレングリコールを主な沈殿剤とする条件下で結晶が得られ、大型放射光施設SPring-8でのX線回折データ収集に成功した。 また、CD43細胞質ドメイン全長においては、ゲルろ過、動的光散乱、円偏光二色性スペクトル、分析超遠心、NMRなどを用いて物性測定を行い、特定の2次構造を持たない非常に伸びきった構造をとっていることを明らかにした。
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