2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格制御系の多様なタンパク質分子認識と機能制御の構造的基礎
Project/Area Number |
04J05044
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高井 友美子 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科・情報生命科学専攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞骨格 / FERMドメイン / 接着分子 / 微小管結合タンパク質 |
Research Abstract |
細胞骨格タンパク質であるERMタンパク質は細胞膜とアクチンフィラメントを連結するリンカーの役目を果たしている。このERMタンパク質はN末端にあるFERMドメインを介して接着分子など複数のタンパク質と複合体を形成し、シグナル伝達の足場を形成する。本研究では、ERM(ezrin/radixin/moesin)タンパク質のうち、ラデキシンFERMドメインと接着分子間における相互作用に着目し、FERMドメインと接着分子PSGL-1、CD43間の相互作用を定量的に解析すると共に、複合体結晶構造解析を通じて接着分子のFERMドメイン認識機構を原子レベルで明らかにした。接着分子は全てFERMサブドメインCの同じ部位で逆平行βシートを形成する相互作用をしていたが、接着分子の配列の違いから異なるアミノ酸残基を認識している部分も認められた。 上記のERMタンパク質の研究に加えて、細胞における微小管ネットワークの構築の制御機構の解明を目的として、微小管プラス端に局在するタンパク質群の相互作用解析も進めている。微小管の挙動を制御する分子として、がん抑制遺伝子産物であるAPC(adenomatous polyposis coli)、EB1(end binding protein 1)、CLIP-170(cytoplasmic linker protein 170)などがある。これらの分子が微小管構成成分であるチューブリンヘテロダイマーを含めてどのように相互作用しているかについて研究を進めている。最終的にはAPCとEB1複合体結晶構造解析を目指しているが、これまでのところ解析に用いるドメインコンストラクトの作成、発現系の構築、精製法の確立に成功し、親和性レジンを用いた結合実験やBIACOREによる相互作用解析を重点的に行った。
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