2006 Fiscal Year Annual Research Report
茎頂分裂組織形成遺伝子の解析から陸上植物の胞子体世代延長の誕を探る
Project/Area Number |
04J05131
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森岡 恵子 (榊原 恵子) 広島大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発生進化 / ヒメツリガネゴケ / ホメオボックス遺伝子 / 植物ホルモン / 世代交代 |
Research Abstract |
被子植物胞子体の茎頂では、細胞分化を促進する遺伝子と未分化な状態を維持する遺伝子が異なる領域で機能し、未分化な分裂組織を維持しつつ、器官が分化していると推定される。未分化な状態の維持に関わる遺伝子としてKNOXクラス1遺伝子が知られている。KNOXクラス1遺伝子はサイトカイニン合成遺伝子(IPT)、ジベレリン代謝遺伝子(GA2酸化酵素遺伝子)とジベレリン合成遺伝子(GA20酸化酵素遺伝子)といった植物ホルモン生合成系遺伝子を下流に持ち、植物ホルモン量を制御することで茎頂分裂組織の細胞分裂及び伸長を制御し、茎頂分裂組織の未分化な性質を維持すると報告されている。KNOXクラス1遺伝子の関わる分子機構がコケ植物でも保存されているかを調べることで、陸上植物の形態進化を調べることを目的としている。 コケ植物KNOXクラス1遺伝子3個を単離し、機能解析を行ったところ、これらはいずれも胞子体の初期発生で発現し、細胞分裂・伸長を制御していることがわかった。ヒメツリガネゴケではゲノム計画が進められている。ヒメツリガネゴケKNOXクラス1遺伝子も被子植物と同じく植物ホルモンを制御しているか調べるために、このデータベースからサイトカイニン及びジベレリン関連遺伝子を探索し分子系統解析を行ったところ、ヒメツリガネゴヶゲノム中にGA2酸化酵素相同遺伝子及びGA20酸化酵素相同遺伝子が存在すること、また、被子植物は2種類のIPT遺伝子を持つがヒメツリガネゴケは1種類しか持たないことがわかった。しかし、これらの遺伝子の発現レベルが野生株と三重遺伝子破壊株とで変わらかいことから、ヒメツリガネゴケにおいてはKNOXクラス1遺伝子はジベレリンとサイトカイニンを制御していないことが示唆された。KNOXクラス1遺伝子によるジベレリンとサイトカイニンの制御は維管束植物とコケ植物の分岐の後に維管束植物において獲得されたと推測された。
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