2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J05171
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 雅春 広島大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 軍政部 / 学制改革 / 高校再編 / 逆コース / 教科書法案 / 自民党 / 日教組 / 文部省 |
Research Abstract |
地方における占領改革の実態と「逆コース」期の文教政策に焦点を合わせて研究をおこなった。 地方レベルでの占領改革についての研究成果を、「占領期広島県における高校再編と軍政部の役割」『芸備地方史研究』(247号、2005年6月発行予定)にまとめた。 本論文では、広島県の高等学校再編成問題を事例として取り上げ、地方における改革の実施状況について分析した。その際、注目したのは府県軍政部の果たした役割であった。日本側が地域の実情に応じて中央で決定された改革を読み替えようとしたのに対して、軍政部は中央で決定された線を守ろうと画策しており、両者の対抗によって改革の実施状況が決定されることを明らかにした。 そして軍政部は間接統治の建前から直接介入できないため、その指導力には限界があったことも明らかにした。改革の実施については、階層によって改革主体の捉え方が異なり、それが改革に対する認識の差を生み出した可能性を指摘した。 「逆コース」期の文教政策についての研究成果を、「1955年前後の文教政策と教科書問題」『九州史学』(140号、2005年2月)にまとめた。 本論文では、自民党成立前後の教科書問題を中心に分析した。昭和二〇年代後半に検定制度は種々の弊害を露呈して、改善が求められる状況になっていた。そのため昭和三〇年に文部省は検定制度の改善に乗り出した。しかし、国会において与党民主党が教科書問題で日教組を攻撃したことによって、教科書問題は検定制度の改善という事務的問題から、保革の対立という政治的な問題へと変質したことを明らかにした。 また同時期に進行していた政界再編により保革の対立の構造が明確になっていく中で、文部省は日教組と訣別して自民党寄りの姿勢を示し、日教組対文部省の構図がこの時点で形成されたことを明らかにした。その結果、対立する保革の言説の中で教科書法案は「反動的政策」のレッテルを貼られ、現在までそのように認識される原因となったことを明らかにした。
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Research Products
(2 results)