2004 Fiscal Year Annual Research Report
新たな持続的開発指標にもとづく国際環境協力政策評価に関する研究
Project/Area Number |
04J05175
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Research Institution | Hiroshima University |
Research Fellow |
甲斐田 直子 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 持続的開発 / 指標 / 社会的環境管理能力 / 環境政策 / 社会構造 / 大気汚染 / 廃棄物 |
Research Abstract |
本論文は、環境問題をめぐる社会構造を解明することを目的とした。1980年代以降の日本の大気汚染問題と廃棄物処理問題を事例として、環境管理の社会構造の解明に対して社会的環境管理能力という概念を導入し、その役割を検討した上で、経済水準、環境水準との3者の構造的関係を明らかにした。 1.日本の大気汚染問題(二酸化硫黄:SO_2、二酸化窒素:NO_2、浮遊粒子状物質:SPM)を対象として、経済水準と社会的環境管理能力の環境改善への寄与を検証した。分析に用いたのは都道府県別の時系列データ(1980-1999年)である。分析の結果、SO_2とSPMについて、経済成長および社会的環境管理能力の代理変数として用いた大気保全対策費と大気環境測定局整備が汚染削減に貢献することが明らかとなった。本分析から、社会的環境管理能力の代理変数として1人当り環境対策費、大気環境測定数が妥当であることが明らかとなった。 2.大気汚染の3物質(SO_2,NO_2,SPM)を対象として、経済水準・社会的環境管理能力・環境水準の相互依存的な構造関係を検証した。構造モデル分析は、グレンジャー因果性検定を用いて都道府県別に分析を行った。分析の結果、SO_2の場合は24県、NO_2では20県、SPMでは24県の都道府県において3者が相互に影響を及ぼしあう相互依存構造モデルが成立することを明らかにした。 3.廃棄物処理問題を事例としてグレンジャー因果性検定による都道府県別の構造モデルの検証を行った。分析の結果、31県において相互依存構造モデルが成立することが明らかとなった。また、廃棄物処理問題における同モデルは大気汚染問題の場合よりも当てはまる都道府県が多く、社会構造が複雑化していることが示唆された。構造モデル間の経済水準・社会的環境管理能力・環境水準について、相互依存構造モデルと他の構造モデルの間にほとんどのケースで水準差がみとめられた。
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Research Products
(2 results)