Research Abstract |
近藤半導体CeRhAsのギャップ形成機構を明らかにするために,セリウム希釈系Ce_<1-x>La_xRhAs,および同型化合物CeRhBi, CeIrSbを作製し,磁性と伝導,X線回折の測定から以下の知見を得た。 1.CeRhAsはT_1=360,T_2=235,T_3=165Kで超格子形成を伴う構造相転移を起こし,T_1以下でE_<g1>/kB〜2000K, T_3以下でE_<g2>/kB〜300Kのギャップを形成する。Ce_<1-x>La_xRhAs(0【less than or equal】x【less than or equal】0.1)の研究より,超格子(0,1/2,1/2)を伴う転移T_1とギャップE_<g1>はx=0.10まで残ることを確認した。CeRhAs_<1-y>Sb_yではy=0.025でT_1とE_<g1>は消失することから,T_1とE_<g1>は4f電子の希釈に対して安定であることを明らかにした。一方,超格子(0,1/3,1/3)と(1/3,0,0)を伴う転移T_2とT_3はともにx=0.01で消え,ギャップE_<g2>形成に伴う電気抵抗率の増大と熱電能のピークはx=0.05で消失した。これは,T_2,T_3とE_<g2>が4fサイトの乱れに対して敏感であることを示している。 2.近藤半金属CeRhSbのSbをBiで,あるいはRhをIrで置き換えた同型構造の化合物CeRhBiとCeIrSbを作製した。いずれも価電子数はCeRhSbと同じであるにも拘わらず,ギャップをもたないことがわかった。CeRhBiは低温で非フェルミ液体的な挙動を示し,量子臨界点近傍に位置する,一方CeIrSbは近藤温度が400Kの価数揺動化合物であることがわかった。このことから,CeRhSbの擬ギャップ形成には4f電子とRh4dバンド間の強い混成が重要であることを明らかにした。
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