2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学に基づくバーチャル線虫モデルの構築とその工学的応用に関する研究
Project/Area Number |
04J05189
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 芳代 広島大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | C.elegans / 運動学モデル / 動力学モデル / 神経回路モデル / コンピュータシミュレーション |
Research Abstract |
研究計画に従い,線虫の運動に着目したボディモデル(運動学モデル・動力学モデル)を作成し,運動シミュレーションを行った.この結果,作成したモデルにより,実生物同様の挙動をある程度再現できることを確認した.また,刺激の処理と筋の制御を担う神経回路をモデル化し,ボディモデルと統合することにより,線虫の刺激受容から行動生成までの一連の流れを表現する世界初の線虫全身モデルを完成させた. これらの研究成果について,国内外の学会の学術講演会で発表を行ったほか,学会誌に投稿した.それぞれの発表内容は,以下のとおりである. 1.神経回路のパラメータ調整に有効な進化的計算法を提案し,その応用例を示した. 2.線虫の機械刺激処理のための神経回路のモデルと運動のための簡略なボディモデル(運動学モデル)を作成し,これらを統合することにより,全身シミュレーションを実現した. 3.線虫の全身モデルを示し,生物実験の一助としてのコンピュータモデルの可能性を示した. 4.線虫の運動を詳細に表現するために動力学を考慮したボディモデルを作成し,実生物の挙動と比較することで,その妥当性を示した. 5.線虫の方向制御を担う神経回路をモデル化するとともに,実生物の立体的な筋構造を詳細に表現する3次元のボディモデルを作成し,未知な部分の多い実生物の筋制御について工学的な一解釈を与えた. このほか,日本有数のイオンビーム照射設備を用いて,線虫の刺激応答と放射線照射との関係を明らかにする実験を手がけている日本原子力研究所高崎研究所と交流するなど,実生物実験の結果を最大限に活かしたコンピュータモデルを作成するための生物学⇔工学連携の取り組みを進めてきた.また,システム神経生物学など関連分野のセミナー等に参加し,広く情報収集を行った.
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Research Products
(3 results)