2005 Fiscal Year Annual Research Report
局所同位体分析をプローブとした放射性核種の移行挙動に関する素過程の解明
Project/Area Number |
04J05203
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀江 憲路 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジルコン / 局所同位体分析 / 放射性核種 / 変質作用 / 希土類元素 / 移行挙動 / ラマン分光計 / 放射性損傷 |
Research Abstract |
自然界における放射性核種の移行挙動を解明することを目的とし、オクロ鉱床から採取した母岩試料を対象として、局所化学分析ならびに分光分析を行った。電子顕微鏡を用いた詳細な鉱物観察から、ジルコンならびにフローレンサイトが放射性核種を固定していると推定された。高感度高分解能イオンマイクロプローブを用いたジルコンの局所同位体分析の結果、一部のジルコンからはPbが失われていることが明らかになった。ジルコンは物理化学的に安定な鉱物であるが、ジルコンに含まれるウランやトリウムといった放射性核種の壊変により結晶格子が破壊され、結晶学的な安定性が低下すると考えられる。ラマン分光分析計を用いた結晶構造の観察から、Pbの損失を生じているジルコンは結晶度の低下が観測された。結晶度とPbの損失量には明瞭な相関が見られ、結晶度の低下した部位がPb損失の過程において重要な役割を果たしていると推定される。Pbの損失を生じているジルコンは、CaやMn、Fe、Al、希土類元素の含有量が高く、主成分元素であるZrの含有量が低い。CaやMn、Fe、Alといった元素の含有量は、主成分元素であるZrの含有量と相関を持っており、ジルコンが変質作用を受けた際にこれらの元素がZrと置換してジルコン中に取り込まれていると解釈される。またこれらの元素とZrの含有量の相関を詳細に観察すると、ジルコンが変質作用を受けた際に、最初にFeが混入し、Feが飽和した後にCaとMnが混入することが明らかになった。CaやMnの置換に伴い、イオン半径の近い希土類元素も同時にジルコン中に混入する。CaとMnが飽和するとAlがジルコン中に混入する。希土類元素とUは化学的性質が類似しており、希土類元素と同様にUもジルコン中に混入することが考えられる。一部のジルコンはUに富んだ縁部を有しており、これは二次的にUが混入したことを示している。
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Research Products
(2 results)