2004 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素により生じるDNA損傷の遺伝的影響と修復機構の解明
Project/Area Number |
04J05228
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中野 敏彰 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | NO / cross-link / Oxanine |
Research Abstract |
一酸化窒素はDNA塩基の脱アミノ化を誘発し、グアニンからはキサンチンとオキザニン(Oxa)が生成する。これまでの研究で、Oxaは生体内物質とクロスリンクし、二次的損傷に変化することを明らかにした。本研究ではそれらの遺伝的影響と修復機構を検討した。 まず遺伝的影響を検討するため、Oxaおよびスペルミン(Sp)とクロスリンクしたOxa(Oxa-Sp)を含むオリゴヌクレオチドを鋳型としてin vitroでDNA複製を行い複製が阻害される部位、複製阻害の強さ、損傷部位に取り込まれるヌクレオチドを解析した。Oxaは複製阻害を示したがOxa-Spは複製を阻害した。OxaにはdCMPおよびdTMPが1:0.72の効率で取り込まれることが示されOxa-Spでは,dAMPが低い効率で取り込まれた。よって,Oxaは中程度の致死効果を示すが,損傷乗り越え合成が起こるとG:C-A:T transitionを誘発すること、一方Oxa-SpはOxaより強い致死効果を示すが,損傷乗り越え合成が起こるとG:C-T:A transversionを誘発することが明らかとなった。 次に修復機構を検討するため、塩基除去修復酵素を用いてOxaに対する除去活性を検討した。その結果,AlkA, hMPGでOxaの除去活性が認められた。しかし,両酵素のOxaに対する除去活性は極めて弱かった。一方、Oxa-Spに対する活性は用いたすべての塩基除去修復酵素で認められなかった。Oxa-SPはかさ高い損傷であることから、ヌクレオチド除去修復機構(NER)により修復される可能性が高い。そこでUvrABCヌクレアーゼおよび細胞粗抽出物を用いてOxa-Sp DNAに対するNER切断活性を検討した。Oxaを含む基質は切断されなかったが,Oxa-Sp含む基質は効率良く切断された。これらの酵素はOxa-SpがNER機構により修復されることを示している。
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