2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J05244
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
ロビンスキ V 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エスニック紛争 / 囲い込み / コーカサス |
Research Abstract |
本年度は、国外における調査、資料収集、学会発表に活動の重点を置いて研究活動を行った。カフカス地方で活動実績を有する国際機関職員へのインタビュー、スペインのサンチアゴ・デ・コンポステラ大学、バルセロナ自治州立大学における口頭発表と調査、カナダのオタワ大学、ブリティッシュ・コロンビア大学における口頭発表、資料収集、ドイツのゲオルグ-エッケルト国際教科書研究センターでの資料収集などがその主要なものである。国際教科書センターの調査では、対立するエスニック集団の歴史教科書の記述を比較することにより、民族囲い込みの概念が教育レベルにおいても妥当することを明らかにすることができた、また、国内では国連訓練調査研究所の主催する紛争に関するワークショップにも参加し、現代地域紛争、特にエスニック紛争に関する理論的示唆を得た。 研究内容に関しては、グルジア-アブハジア紛争のみならず、グルジア-南オセチア紛争にも研究対象を広げ、カフカス地方における紛争の特質を明らかにした。これは、アルメニア、アゼルバイジャン、北カフカスなどにも対象を広げ、紛争の共通性を抽出することにより、この地域の紛争の特質を摘出する手がかりになるものである。カフカスにおける紛争の特徴のひとつであり、また本研究の中心概念でもあるエスニックな囲い込みという概念についても、エスニック集団の間の対立と紛争において言語がいかに象徴的な役割を果たすかについて事例に基づき理論の精緻化を試みた。 このような研究と並行して、南アメリカ・コロンビアにおける、民族単位ではないが紛争による、一種の囲い込みの事例として、国内避難民の移住の仮定と経路を考察する論文を広島大学大学院国際協力研究科の紀要に発表した。
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