2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞の微小管構築に関する微小管結合タンパク質の生化学的解析
Project/Area Number |
04J05501
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
濱田 隆宏 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微小管 / 微小管結合タンパク質 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
植物細胞において微小管は微小管結合タンパク質により様々な構造物に構築され、多様多種な働きをしている。私はタバコ培養細胞BY-2から微小管及び微小管付随タンパク質群を精製し解析を行うことで、微小管構築機構の解明を試みている。 今回、私は微小管タンパク質群に含まれる87kDaポリペプチドに注目し、その精製と解析を行った。87kDaポリペプチドはBY-2ミニプロトプラスト(脱液胞化プロトプラスト)粗抽出液から二回の微小管重合・脱重合サイクルにより濃縮され、陰イオン交換カラム及びゲル濾過カラムにより精製された。精製された87kDaポリペプチドをイオントラップ型タンデムマスにより解析したところ、シロイヌナズナのダイナミン様タンパク質AtDRP3(ADL2)のタバコホモログ(NtDRP3)であることが示唆された。AtDRP3(ADL2)は既にミトコンドリアとペルオキシソームの分裂に必須な遺伝子であることが報告されている。しかしながら現在までに植物細胞からダイナミンが精製された例はない。そこでNtDRP3の生化学的性質について解析を行った。 精製したNtDRP3を電子顕微鏡により観察した。GDP存在下ではNtDRP3は直径約10nmの粒状構造をとり、GTP存在下では幅が10nmの棒状構造をとることがわかった。これらの構造物は動物での知見から前者はNtDRP3の4量体であり、後者はNtDRP3の多量重合体であると考えられる。共沈実験と電子顕微鏡観察により、NtDRP3は微小管を束化することを明らかにした。また同様の方法により、NtDRP3がアクチン繊維も束化することを明らかにした。微小管束上には規則的なダイナミン様の構造物が観察されたが、アクチン繊維束上にはそのような構造物は観察されなかった。
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