2004 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン低地社会における実践的医療体系の構築および応用に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
04J05579
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
東 賢太朗 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 医療 / 開発 / 文化人類学 / フィリピン / 民間医療 / 実践的医療体系 / 宗教 / 妖術 |
Research Abstract |
本研究初年度の実績として、第1に研究全体に関わる理論的視座の構築が挙げられる。医療と開発についての内外の文献資料の検討から、次年度以降の具体的な研究を進める上での指針となる視座を確立した。『宗教研究』に書評論文の形で発表した「書評:白川千尋著『カストム・メレシン-オセアニア民間医療の人類学的研究』」には、本研究と関連する国内の最新の成果をレビューしたうえで、その問題点が指摘されている。 次に挙げられるのは、研究代表者が博士後期課程在籍中に収集した民族誌データの、実践的医療体系という視点からの再整理および再分析である。その点に関連して、近代化やメディアという現代的観点から調査地の妖術現象を再考したのが、『ククロス:国際コミュニケーション論集』に論文として発表した「妖術・近代・関係性-フィリピン・カピス州の妖術師アスワンをめぐるメディア表象」である。 最後に、次年度以降に本格的に実施する現地調査の予備調査として、9月から10月にかけてフィリピンでの調査を行った。実践医療体系という観点から、これまで民間医療中心に行ってきた調査の重心を近代医療へと移行し、調査地域の近代医療従事者(医者、看護師、公衆衛生省の役人など)への予備的なインタヴューを行った。さらに、第38回日本文化人類学会(2004年6月5日、東京外国語大学)での口頭発表「『異端』か『偽医者』か?-フィリピン地方都市の呪医実践より」、第19回国際宗教学宗教史会議世界大会(2005年3月27日、高輪プリンスホテル)での口頭発表"Doctrine and Devoutness : A Study of a Catholic Charismatic Movement in the Province of Capiz, Philippines"を、これまでの研究成果の発表として付け加えておく。
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Research Products
(2 results)