2004 Fiscal Year Annual Research Report
スローンデジタルスカイサーベイ銀河数密度場の位相相関解析
Project/Area Number |
04J05594
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
日影 千秋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙大規模構造 / 位相相関 / 銀河分布 / 統計解析 |
Research Abstract |
現在最大規模の銀河の赤方偏移観測サーベイプロジェクトである、スローンデジタルスカイサーベイの銀河データを利用し、宇宙モデルの選別、銀河バイアスの定量的解析を主目的として、銀河の3次元空間分布の密度ゆらぎに関する統計解析を行った。特に今回、これまであまり注目されなかったゆらぎのフーリエ位相情報に着目し、最近開発された位相和の確率分布関数を用いて、位相相関の定量的解析を初めて行った。古くから使われてきた統計手法である2点相関関数は、ゆらぎの位相情報は無視されているため、統計的に独立な観点からゆらぎの性質を調べることができる。 実際の観測データと比較する準備として、まずN体シミュレーションを用いて非線型な重力進化によって生じる位相相関のふるまいを、位相和の分布関数を通して詳細に調べた。また、観測データの解析の際に生じる様々な系統的影響、具体的には、観測領域の形状、銀河の数密度、銀河の特異速度に起因する赤方偏移ゆがみ、を考慮し、これらの観測的な影響を取り入れた擬似サンプルを作成した。様々な宇宙モデルに基づく擬似サンプルと観測とを比較した結果、位相の相関情報という観点からも、標準的な宇宙モデルである宇宙項入りの冷たい暗黒物質モデルと矛盾しないことがわかった。 スローンデジタルスカイサーベイ観測は現在進行中であり、十分なデータが集まった後、統計精度の高い結果を、論文として公表する予定である。
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