2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J05622
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 治人 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 糖鎖工学 / 分子認識 / 光アフィニティーラベル化 / 多価効果 / マルチバレントモデル / 糖鎖 / タンパク質 / 生体機能材料 |
Research Abstract |
糖鎖は生体内における重要な分子認識素子であり、受精、文化、細胞接着やウイルス感染などの諸現象に糖鎖の認識が密接にかかわっている。しかしながら、それらの糖鎖による認識能は、一分子単独では非常に弱いことが知られている。実際に生体内においても、糖分子は何らかの集合体を形成して初めて、その機能を発揮することが知られている。そのため、糖鎖の機能を利用して有用な材料とするためには、糖鎖をマルチバレントなモデルへ展開しなければならない。 平成16年度の研究では、 1.3つのマンノースを有した分子を設計し合成した。この分子には、リンカーとしてポリアミドおよびエチレングリコール骨格を持ち、水溶性の向上を狙った。 2.合成した分子のレクチン認識能を、赤血球凝集阻害試験によって評価した。レクチンとしては、マンノース認識レクチンであるコンカナバリンA、PSA、そしてLCAを用いた。結果、合成した分子の多価効果の種類を糖鎖の認識能に関連付けて議論することができ、次の応用に向けた考察をすることができた。 3.当研究室では、光アフィニティーラベル化試薬を開発している。このラベル化試薬を利用することにより、タンパク質の特定の糖鎖認識部位を光ラベル化することができる。本研究では、このラベル化化合物をマンノース分子の末端に導入した新たな化合物を設計・合成した。このマンノースを有する光アフィニティーラベル化試薬は、(1)分子自体は蛍光を持たないが、ラベル化後の化学修飾により蛍光を発する。(2)ラベル化後の蛍光は光に対して安定である。(3)糖鎖の認識能を多価効果により高めることができる。(3)リンカーの設計により水溶性の増大が見込める。などの特徴を持つ。今後、ラベル化試薬としての評価を行う。
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