2004 Fiscal Year Annual Research Report
C.エレガンスにおけるカルシニューリンを介した記憶・学習機構の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
04J05640
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
久原 篤 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | C.elegans / カルシニューリン / 連合学習 / 介在ニューロン / 分子遺伝学 / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
カルシウム/カルモジュリン依存性脱リン酸化酵素カルシニューリンは、哺乳類の脳の介在ニューロン群において記憶・学習の成立機構を制御している。しかし、その情報伝達系を構築する詳細な神経回路および細胞内分子制御機構は解明されていない。本大会では、線虫C.elegansにおいて、カルシニューリンTAX-6がわずか2対の介在ニューロンで連合学習の成立を制御している機能的な証拠を示す。C.elegansにおいて、カルシニューリンTAX-6の発現は感覚ニューロン、介在ニューロンを含むほぼすべてのニューロンで観察され、感覚ニューロンでは感覚刺激に対する感度の調節に関与している。それに対して、介在ニューロンにおけるカルシニューリンTAX-6の機能および記億・学習への関与は解析されていなかった。そこで、介在ニューロンにおけるカルシニューリンTAX-6の機能のみを欠失させたトランスジェニック株を作製し、連合学習行動を測定した。C.elegansの野生株は一定の温度下で飢餓を体験すると、飼育温度と飢餓を連合学習し、飢餓体験温度を忌避する飼育温度忌避行動を示す。ところが、介在ニューロンにおいてカルシニューリンTAX-6を欠失させたトランスジェニック株は、飢餓を体験したにも関わらず、飢餓体験温度を忌避しない飼育温度忌避行動異常を示した。この連合学習行動の異常は、温度に対する走性行動を制御するAIZとRIA介在ニューロンでtax-6 cNDAを発現させることによりレスキューされた。この結果は、カルシニューリンTAX-6がわずか2対の介在ニューロンAIZ、RIAにおいて連合学習の成立を制御していることを示唆する。
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Research Products
(2 results)