2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J05643
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 崇裕 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 特別研究員PD
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Keywords | 葉緑体 / 翻訳 / DNAマイクロアレイ / タバコ |
Research Abstract |
葉緑体は、光合成を行う植物固有の細胞小器官で、独自のゲノムとその遺伝子発現系を持つ。葉緑体遺伝子の発現における最終的なタンパク質合成量は、転写レベルやRNAの蓄積量にあまり影響を受けず、翻訳レベルに依ることが明らかにされている。しかし、葉緑体の翻訳過程の研究は極めて遅れている。原核生物のmRNAでは5'非翻訳領域のシャイン・ダルガーノ(SD)配列が30Sリボソーム中の16S rRNAと相互作用することによって、翻訳が開始される。しかし、葉緑体mRNA(全79種)中の2/3はSD配列を持たず、これらのmRNAがどのような翻訳機構に依存するかは不明である。 そこで、葉緑体in vitro翻訳系(葉緑体抽出液で正確な蛋白質合成を行う反応系)、葉緑体DNAマイクロアレイ、in silico解析を用い、葉緑体mRNAの翻訳制御配列、及びそこに結合する因子を広域的に解析し、葉緑体の翻訳制御機構を明らかにすることを目的として研究を行った。本年度はタバコ葉緑体in vitro翻訳系の非アイソトープ化、高速化に成功した。次に様々な成長、環境条件(成熟葉、若葉、もやし、BY-2細胞)のタバコ葉緑体から、翻訳過程にあるmRNA(リボソームに結合しているmRNA)を超遠心により分画した。沈殿に含まれるリボソームと結合した翻訳活性の高いmRNA群と、全mRNAをcDNAプローブとして葉緑体DNAマイクロアレイを用いて解析し、各条件で活性化されるmRNAをクラス分けした。次にクラス分けしたmRNA中の保存配列をin silico解析によって抽出した。その結果、葉緑体のmRNAの翻訳は約20の翻訳制御配列を介して制御されていること、大腸菌で翻訳に必要なSD配列は時期特異的なmRNAの翻訳活性化とは関係のないことを明らかにした。
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Research Products
(1 results)